インドの結婚事情「Arranged Marrige(見合い結婚)」の話

女たらしキャラのインド人・ラウルとインドの結婚事情

大学4年生の時、一人卒業旅行ということで3ヵ月半ほど海外一人旅をしていた時があった。

その旅中、インドのジャイサルメール(ラジャスターン州と呼ばれるパキスタンにも近い砂漠エリアにある街)で出会った二人、お調子者のインド人リキシャドライバー・ラウルと、ラウルと一緒にいたオーストラリア出身の観光客・ブレイクの話が印象的だった。

インドのジャイサルメール

インド人ドライバーと欧米人観光客についていくことになり…

後ろに欧米人を乗せたリキシャドライバーに話しかけられる。
「リキシャの後ろにもう一人乗れるから、観光したいなら連れてくよ~!」と話すインド人(ラウル)に対して完全に疑いの念を抱く私。

でも、「彼が勝手に話しかけてごめんね。でもどうせだったら一緒に観光しよう!」と押す欧米人(ブレイク)はどう見ても普通の観光客だと思い、私は二人についていくことに。

女たらしキャラのインド人・ラウル

このインド人ドライバー・ラウルがかなりクセの強い人間だった。

世界遺産に登録されているジャイサルメールの城砦と街並み

ラウル
ここから一緒に飛び降りよう。
そしたらとてもロマンチックだ。
わたし
いや、それはロマンチックとは言わない。

ラウルが放つ口説き文句の数々がこちら

アメリカドラマに出てきそうな完璧な女たらしキャラを持つラウル。

ラウル
君は本当に美しいね。こんなに美しい女性を見たことがない。
ラウル
君のリップはとてもセクシーだ。
ラウル
君の頬と笑顔はとてもチャーミングだ。
ラウル
君の声はとてもスウィートで、まるでチョコレートみたいだ。
ラウル
あ、ここに美女がいる!
ラウル
あ、ここにマハラジャがいる!

雨のように降り注がれる口説き文句の数々。
どこで覚えたのか?君はラテンの血が入っているのか?と思うほど情熱的でトチ狂ったセリフを連発。

ラウル
君って本当にチャーミングだよね。
(リキシャを片手運転して後方座席の私にウインクしながら)
わたし
前見て運転して!!!!

撮影スポットへ向かうラウルとブレイク

Arranged Marrige(アレンジド・マリッジ)=親に決められた結婚

結婚予定年の2~3年前に結婚相手が決められる。

ラウルは当時22歳だと言っていた。もうすぐ23歳になるんだと。

ラウル
ますますスパイシーな男になるんだ♪

相変わらずのキザキャラで、完璧なウインクを飛ばしてくる彼。
(実際なかなかのイケメンで、こっちも気分が悪くないもんだから、イケメンって怖い)

ラウル
僕の家はマハラジャさ。ロマンチックだろ?
キミを招待したいところだが、両親が許さないからなあ。『なんで外国人の女なんて連れてきたんだ?』ってね。
でも大丈夫、家の外でならMake Loveできるから。

冗談を飛ばして、私とブレイクを笑わせる。

ブレイク
実際、どうなんだ?
キミもやっぱり「Arranged Marrige」になるの?
わたし
アレンジド・マリッジ…?

トーンを落ち着かせてわりと真剣に質問するブレイク。
ここから話の内容は少しシリアスになっていく。

ラウル
そうだね。
僕の場合、27歳に結婚をする予定なんだ。
ブレイク
もう決まっているんだね。
相手はどんな女性なの?
ラウル
相手のことはまだ分からないよ。
結婚予定年の2~3年前になって話を持ち出されるんだ。

現在もインド人のほとんどが両親によって結婚を決められる。

「Arranged Marrige(アレンジド・マリッジ)」とは、縁組、見合い結婚、両親によって決められる結婚のこと。

現在もインド人のほとんどがアレンジド・マリッジによって結婚するそう。
身分制度・カースト制度によって、結婚に相応しい相手・環境が限られているというのが大きな理由。
(カースト制度はヒンドゥー教徒のみのものだけど、アレンジド・マリッジの文化はインド第二の人口であるイスラム教徒などを含めて宗教関係なくインド全土に根付いている様子。)

男性の場合、大体23歳~25歳、遅くて27歳くらいには結婚をする。女性の場合はもっと若い。
相応しい年齢、相応しい収入、同カースト。互いの家族に利益はあるか?不利益はないか?
そういった点でマッチした相手を各家庭が探し合うのだ。

インドでの「結婚」は、個人と個人が結ばれるというより、家族と家族が結ばれるという意味合いがとても強いからだ。

ラウルは27歳で結婚をする。相手はまだ知らない。

ラウルは、27歳に結婚をするという。
相手はまだ分からない。結婚予定年の2~3年前になって話を持ち出されるらしい。

嫌味のない女たらしキャラクターで男女ともに愛されるラウル。

彼が日本に生まれていたら、遊びすぎて婚期を逃すかも?
欧米に生まれていたら、きっとモテモテでジュード・ロウ並みに遊んでいるかも?
いや、逆に…ひとりの女性と深く恋に落ちて、映画の主人公みたいにユーモアのある完璧なプロポーズをして彼女を喜ばせるかも。

連れていってくれた夕日の綺麗なスポット

そんなラウルも、インドに生まれたからには、4年後に両親によって決められた人と結婚する。
なんだかちょっと残念な気もするような、素敵なパパになりそうで楽しみな気もするような…。

とにかく、結婚相手も素敵な女性であることをひそかに願ったのでした。

ラウル
ところで、キミのイヤリングすごく素敵だね。ミントグリーンがとてもセクシーだ。
わたし
いや、ミントグリーンはセクシーではない。